ビッグデータマガジン

位置情報、インタレストグラフ、ソーシャルグラフ上のつながりを現実世界の活動へ結びつける株式会社ナイトレイさまインタビュー

time 2014/02/20

位置情報、インタレストグラフ、ソーシャルグラフ上のつながりを現実世界の活動へ結びつける株式会社ナイトレイさまインタビュー

ビッグデータ業界のキーパーソンにお話をうかがう「ビッグデータマガジン・インタビュー」。独自開発のロケーションデータ収集・解析エンジン「T-Rexa(トレクサ)」を活用し、インターネット上のロケーション関連データを収集&解析する株式会社ナイトレイの代表取締役 石川豊さまにお話をうかがいました。

株式会社ナイトレイは、「渋谷ビットバレー構想」を提唱した著名なエンジェル投資家の西川潔氏も出資する、ビッグデータ系のベンチャー企業です。

 ビッグデータマガジン ナイトレイさま インタビュー ロゴ

 

――― 自己紹介をお願いします。

 

ビッグデータマガジン ナイトレイさま インタビュー 

株式会社ナイトレイの代表取締役
石川豊さま

私は新潟出身です。中学生の頃にウインドウズ95が発売されてパソコンの便利さや可能性を感じ、高校生では自分のPCを購入しインターネットに触れ更に衝撃を感じたことをよく覚えています。地方にいながら簡単に海外の情報を見ることができたり、ハードやソフトウェアの進歩の早さを体感しながら「革命的なことが社会に起こりそう!」と感じました。

そのような衝撃に影響されて、大学進学時にはインターネット系の学科を探し、専修大学のネットワーク情報学部に進学しました。この学部は設立2年目の学部で、先輩は1学年しかいませんでした。しかし、学校ではAdobeのソフトウエアが使い放題だったり、プログラミングやデザインの授業も豊富で、ウェブビジネスを目指す上でとても良い環境でした。

現在弊社で取り扱っているビジネスは、「インターネット」「ビッグデータ」「モバイル」「地理」というキーワードが関連していますが、私は小学校時代から “地理”の授業が大好きでした。地図帳が大好きで、世界の国名や地名を覚えたり、地形を調べたりしました。歴史的にその地形がどのように形成されたのか?といったことも興味を持っていて、高校では珍しい地学を選択したり、真剣に地理系の学部に進学することも考えていたほどです。そのような背景があるので、今このビジネスにチャレンジしているのも必然かなと思っています。

 

大学を卒業し、渋谷ビットバレーの提唱者としても著名な西川潔さんが代表をしている株式会社ネットエイジに入社しました。会社の先輩達は独立志向が旺盛で、実際に社内事業からスピンアウトしていく事例も多く、業務でも新しいWebビジネスをとにかく立ち上げるという内容だったため、会社に在籍しつつも起業の訓練をしているような感覚でした。

最初に担当したのは“モバイルのポイントサービス”で、その後は広告事業なども担当しました。バナー広告、SEO、SEM、アドネットワーク、アフィリエイトなど、さまざまなネット広告、ネットマーケティングをクライアントに提案し結果を出していくプロセスで多くを学びました。特に、アフィリエイト、アドネットワークは自社のソリューションだったため、自社サービスの運営も学ぶことができました。

 

その後、2010年に独立をし、株式会社ナイトレイを設立しました。世の中はスマホ時代が到来しており、それまでのガラケー(フィーチャーフォン)によるモバイルの時代よりも、外出している生活者からの情報発信が格段に増えているのを感じていました。一方で、この外出しているシチュエーションで発信された情報を閲覧・検索するサービスや、ビジネス的なソリューションが皆無だったため、そこにフォーカスした事業を検討しました。

事業のアプローチとしては、大きく分けて次の二つが考えられると思いました。

  1. 自分たちでアプリを作って大量のユーザを獲得し、そこからデータを集める。
  2. 既存のさまざまなアプリやSNSで公開されている投稿データを圧倒的に解析する。

検討の結果、早く事業を成長させるために後者を選択しました。

 

最初に手がけたのは“O to O(Online to Offline)”関連のソリューションです。リアルビジネス(実店舗での商売)にデータドリブンな思考を広めようと、リアルビジネスにおけるGoogleアナリティクスのようなツールのプロトタイプを作りました。そして、フィージビリティ・スタディのため、多くの企業や店舗にヒアリングをしました。しかし、結果として「時期尚早だ」と判断せざるを得ませんでした。実店舗ビジネスの現場と私が経験してきたネットビジネスの世界とでは、想像していた以上に考え方や文化のギャップが大きかったのです。

ビッグデータマガジン ナイトレイさま インタビュー 

実店舗ビジネスの現場には「データを見たい」というニーズはほとんど見当たりませんでした。特に、オペレーション上PCを見る余裕ないというのが状況でした。

事業をピボットするために、地理情報という視点を変えずに、入手可能なデータと解析可能な要素の組み合わせから「何ができるか?」を考え直しました。もちろん、さまざまな方面に、プロトタイプでのヒアリングを繰り返しました。

見つかった顕在ニーズは、

  1. データそのものがほしい。(研究領域)
  2. データを使って商品を開発したい(GIS業界)
  3. 観光地の施設やお店などの、タイムリーな人気度データがほしい。
    (Webメディア)
  4. 自社業態に合ったソーシャルリスニングツールに仕上げてほしい。(飲食、小売業)
    (例)「お好み焼きチェーン」に対して、エリア分析をする。
  5. 旅行者(特に外国人)の行動傾向が知りたい。(観光業界、公共機関)

といった内容でした。

 

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おかげさまで、2012年から売り上げが上がるようになってきました。現在は、主にGIS企業や地図ビジネス業界とのパートナーシップを重視しています。GISとは、“Geographic Information System=地理情報システム”のことです。GIS業界のプレーヤーは、店舗や施設を運営している民間企業、公共事業者に対して、地図上に国勢調査データや消費者データなど様々な地理空間データを重ね合わせて解析するシステムとノウハウを提供しています。

地図情報に店舗や建物の情報を重ね合わせ、さらに弊社のデータを加えると、それぞれの店舗や建物の近くで、どのような特徴の人々が、どのような感情を持ち、どう移動したか?などを知ることができます。ほぼリアルタイムに解析結果をデータベース化していますので、ある瞬間の状況を表示することも、瞬時にアラートを出す事も可能になります。

また、事業の方向性を探っていくプロセスでは、大学等の先端研究組織との連携が功を奏しました。特に早い段階から東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)の柴崎研究所を中心にさまざまな研究をご一緒できたことを本当に感謝しています。

 

――― 御社のサービスについて、詳しく教えてください。

 

ソーシャルメディアを解析して得た約4,500万件の行動データをエリア毎に四角いメッシュデータとして集計し、簡単にGIS(地図情報システム)上に取り込むことを可能にしたデータプロダクト「ナイトレイGISメッシュデータ」を開発し、「SNSベーシックパック」と「SNS詳細データパック」という2種類の商材を販売しています。下記の画面は、データの一部を実際に見ることができる体験版サイトです。

 

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体験版サイト(http://tool.nightley.jp/gis-demo/

 

この商品はGIS業界各社よりアドバイスを受けながら開発しています。例えば、「駅に焦点をあてたデータがほしい」というリクエストに対して、どのようなクチコミや投稿画像が含まれていれば駅に関係する投稿なのかを判断するために、GIS業界各社からいただいたアドバイスを活かしています。

従来、GIS業界で活用しているデータは、“古い”ことと、“高価”なことが課題でしたが、弊社のデータプロダクトはリアルタイム情報まで含んでいることと、比較的安価に提供できる事が特徴です。ソーシャルメディアに投稿されている公開データは少々偏りがあることが否めませんが、弊社データ単体もしくは従来型のデータと併用・補完し合うことで、より精度の高い意思決定が可能になると考えています。

その他の特徴として、これまでにはなかった定性的な情報(クチコミ、写真)をメッシュごとに見ることができます。

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活用イメージ:渋谷地区の“飲食”に分類されるクチコミ内ワード
(クリックにて拡大表示されます)

上記の画像は、渋谷周辺で“飲食”に分類される投稿クチコミにおいて、出現頻度が多い単語を表示した例です。

 

一方で、下記の画像は、同じ範囲での“商業施設”に分類される投稿クチコミにおいて、出現頻度が多い単語を表示した例です。

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活用イメージ:渋谷地区の“ショップ”に分類されるクチコミ内ワード
(クリックにて拡大表示されます)

二つの画像は、ある瞬間の同時刻を同じ場所で比較していますが、場所による違いや時間の経過による変化などを見ることなど、自由に設計してお使いいただけます。

弊社のデータを活用することで、GIS利用企業・自治体はエリアマーケティングやリスク管理用途において、タイムリーで詳細な地域の情報をもとに意思決定をすることができるようになります。

 

――― ユーザーの事例を教えてください。

 

パイオニアの子会社のインクリメント・ピー株式会社が提供している「マップファン」という地図サービスの新機能として活用いただいたケースがあります。他社サービスとの差別化要素としてユーザの表示している地図エリアにおいてソーシャルメディア上の写真やクチコミを表示するチャレンジをし、弊社から外部データの解析やサービス企画設計面でのサポートしました。

また、地域や場所に関わるクチコミや投稿写真は、観光地との相性が良いので、観光系のウェブメディアや雑誌からも注目していただいています。需要が高いものの1つが、その観光地にある施設の人気度データです。今までは、各施設に関するタイムリーな格付けデータが少なかったため、季節ごとにどの施設の情報がユーザにとって価値が高いのかという判断が難しかったのですが、弊社のデータを参考指標として導入いただいたことで、サイト滞在時間やCTR、CVRの増加が見込まれています。

 

サイトイメージをご紹介できる例としては、2014年2月23日富士山の日に向けて静岡県・山梨県と共同運営している富士山の写真を投稿するサイト「富岳3776景」があります。ここではキャンペーンサイトとしての基本機能の他に、T-Rexaエンジンを活かしてSNS上で公開されている富士山写真の取り込みも実現しています。

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富岳3776景(http://fugaku3776.okfn.jp/) 

 

公共事業で活用いただいた例としては、ある都市の都市計画をGIS事業者が落札した例があります。その事業の中で、地図情報や住民データなどから交通量の中期予測をしたのですが、これまではアンケート調査を実施してレポートに入れ込んでいたため、調査費用が高額になってしまい、その分の予算を確保することが大変だったそうです。弊社のデータを活用して報告書を作成できれば大幅なコスト削減になります。同様の事例は他の公共事業でもありました。

民間の受託事業関連では、大手広告代理店が大型のリアルイベントの開催を請け負ったケースでの活用があります。イベントの成果報告書の作成をする際に、イベントの実施直前から直後までの効果測定や定性分析のため、弊社の解析結果データを活用いただきました。

 

 

――― 人材に関する課題と、対策について意見をお聞かせください。

 

ビッグデータマガジンのインタビューで皆さんがおっしゃっていることかも知れませんが、とにかく“データを見ることができる担当者が少ない”ことに尽きると思います。私が新卒で入ったネット業界は、Webメディアにしてもネット広告にしても、いつもPVやCTR、CPAなどの数字を重視しながら業務をしていました。それに比べると、リアルビジネスの業界では、“データを重視しながら、ビジネスの成長を加速させよう!”という習慣を持っている人材が非常に少ないと感じます。われわれが提案をする際も、自社のビジネスの課題に対して、データを解釈して施策や企画を一緒に考えようとする方は少なく、すぐに“答えを求める”方が多いように感じます。

「“どういうデータか”ではなく、“何をしたらよいか”を教えてほしい」と、おっしゃる方が多いのです。

 

対策ですが、会社でもまたは社会人になる前の学校においてでもよいので、データを触れなければならない機会を増やす必要があると思います。BIツールなどを導入しデータを読み解く環境を構築できても、自分では触らない方が多かったり、外部の専門家に丸投げしてしまい、自分の頭で考えることが少ないという課題があるのではないでしょうか。

日本のビジネスや教育の現場でさまざまなツールを操作して考える機会や、多様なデータに触れる機会が少ないということであれば、その課題解決をサポートするような活動も行っていければと考えています。

 

 

―――最後に、ビッグデータマガジンの読者の皆さまむけに、メッセージをいただけますか。

 

ビッグデータマガジン ナイトレイさま インタビュー 

とにかく「データをしっかり見よう!」とお伝えしたいです。慣れていない方にとっては大変ですし、最初は気が進まないかもしれません。

ほとんどの企業は、利用できるデータ量が膨大になっている反面まだまだデータ活用が進んでいない傾向にありますが、データから得られる価値は想像以上に大きいものです。

今は業績好調な企業でも、データを活用している企業にリプレイスされぬよう、これまで通りのやり方ではなく、勇気を持ってデータドリブンな仕事の進め方への一歩を踏み出してほしいと思っています。

 

 


【インタビュアー】

ビッグデータマガジン杉浦杉浦 治(すぎうらおさむ)

株式会社 AppGT 取締役
株式会社 学びラボ 代表取締役
一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事

 

 

2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。

2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニ ケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。


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