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1時間で参加者がビッグデータ活用スキルを身につけた「YOKOSUKA観光データ解析アイデアソン」参加レポート

time 2014/06/30

1時間で参加者がビッグデータ活用スキルを身につけた「YOKOSUKA観光データ解析アイデアソン」参加レポート

ビッグデータマガジン 土本寛子です。

2014年6月22日(日)、航路事業を企画する株式会社トライアングルと、横須賀を中心とした地域活性化を行うNPO法人横須賀創造空間が共催し、横須賀市の交流人口を増加させ、さらなる活性化を目的とする「YOKOSUKA観光データ解析アイデアソン」が横須賀にて開催されました。

本アイデアソンは、SNS(ソーシャルネットワークサービス)上の約40万件のデータをBIツールで解析しながらアイデアを創出する点が特徴的で、当日は以下のビッグデータ活用にまつわる企業の支援とともに、参加者は自由にアイデアの議論を行いました。
・横須賀市に関するSNS情報を提供(株式会社ナイトレイ)
・ビッグデータ分析アプリTableau desktopの提供(タブロージャパン株式会社)
・データ分析の教育支援(株式会社チェンジ)

30名の参加者はWebから広く募集。横須賀市地域活性に興味のある学生や地元企業関係者、地方議員などが参加し、投票時には吉田横須賀市長も参加され、非常に盛り上がるアイデアソンとなりました。

今回は、創出されたアイデアのご紹介とともに、参加者がどのように短時間でデータから示唆を得たのかについてレポートいたします。

 

■最優秀アイデアは「女子旅 in 西海岸」

参加者はくじびきで7チームに分かれ、株式会社ナイトレイが本アイデアソン用に取得したSNS情報をもとに、参加者自身がビッグデータ分析アプリTableau desktopを用いてデータを分析し、横須賀市を活性化させるためのアイデアを検討。
検討後、チームごとにプレゼンテーションを行い、参加者全員が投票権を持ち、自チーム以外のアイデアに投票し最優秀アイデアを決定しました。

最優秀アイデアに選ばれたのは「女子旅 in 西海岸」となりました。

「女子旅 in 西海岸」━━━━━━━
横須賀市東海岸エリアと西海岸エリアにおける男女のチェックイン数の構成比に着目。三笠の軍艦など横須賀市東海岸エリアには男性が多いことから、女性層を増やすために新鮮な野菜など東京や横浜にない横須賀市が訴求すべきポイントを整理。また、その集客時に課題となる交通の便を指摘し、対応策として「バスツアー」「デートプラン」「パーキングエリアのスマートインターチェンジ化」を提案。
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「軍艦に関するデータ件数は男女の構成比が大きく異なり、その差は男性が女性の10倍以上である」などからエリアごとの男女構成比の裏付けをデータにもとづき分析した点、他エリアと差別化した上で女性が喜ぶ観光スポットを実体験から提唱できた点、また、課題となる交通の便に対し提案が行えた点を高く評価され、最優秀アイデアとして表彰されました。

ビッグデータ アイデアソン

最優秀チーム アイデア検討風景

ビッグデータ アイデアソン

当チームは、データ分析にくわえ、野菜に注目した女性人気スポット
「JAよこすか葉山 農産物直売所すかなごっそ」
「SYOKU-YABO」
「アーセンプレイス (earthen-place)」
といったツアーポイント紹介など、地元に精通した参加者ならではの視点も織り交ぜられたプレゼンテーションとなりました。

 

 

■データ分析からうまれた そのほかのアイデア

最優秀アイデアのほかにもさまざまなアイデアがうまれました。

ビッグデータ アイデアソン 集計結果

集計結果

どのチームにも共通していたのは、「仮説を立て、データを分析し、仮説を検証する」その繰り返しによりアイデアを検討していた点です。

たとえば、「1日で周りきれないヨコスカを目指して、またきてね ヨコスカ」アイデアでは、日付を軸にしてデータを分析することで何か示唆があるのではないかという仮説のもと、8/17にチェックイン人数が増えたことに着目し、その原因をイベントの開催と考えWebで調査。同日、ヴェルニー公園でイベントが開催されたことを特定し、その日の飲食店チェックイン状況を調べ、イベントに参加された方と飲食店を利用された方が同一ではないことから、飲食店等でイベント開催に連動した施策を行い、観光客を周遊させることで、再度横須賀市に足を運んでもらえるのではないかと、周遊のための施策を提案。

ビッグデータ アイデアソン

データ分析により突出したデータからその原因となるイベントを特定
そのイベント参加者の飲食店利用状況を追加調査

 

また、別のチームは、駅利用者数を増加させることで横須賀市をさらに活性化させられるのではという仮説のもと、横須賀市内の駅のチェックイン数に着目し、全体的な利用者数だけではなく、その頻度からその利用目的を観光か通勤かを識別。利用者数がすでに多い横須賀中央駅ではなく、横須賀中央駅以外の利用者を増やすために、横須賀中央駅と差別化した視点でのブランディングを提案しました。

ビッグデータ アイデアソン 分析結果

横須賀市 チェックイン件数データ分析結果

 

また、汐入駅のデータ結果をドリルスルー(データの内訳参照)し、「汐入駅のファミリーマートのチェックイン件数が多い」ことを特定。また、その理由は「艦隊育成シミュレーションゲーム“艦隊これくしょん”ラッピング店舗効果であるのでは」など、なぜそのようなデータ結果になったのかというひもづけを行う場面もありました。

このように、データ結果とそこから考えられる仮説を繰り返し検証したアイデアは、非常に興味深いアイデアばかりでした。

■吉田横須賀市長からのコメント

全プレゼンテーションをご覧になった吉田横須賀市長も「どのチームのアイデアもデータをもとにアイデアを検討することで推論ではない説得力のあるアイデア。民間の方々が自主的に集い、横須賀市の活性化についてアイデアを検討するという素晴らしいイベント」と総評。また、ひとつひとつのチームに対してコメントをされました。

 

■ビッグデータからいかにアイデアを得るのか?

今回、データ分析を支援するため、分析アプリケーションであるTableau desktopを利用しましたが、参加者はTableau desktop未経験。株式会社チェンジ 高橋氏から約1時間で使い方やデータ分析コツのレクチャーをしたのちに実際に操作いただきましたが、2時間という短い検討時間にも関わらず、Tableau desktopを使用し、データから数々の示唆を得るに至りました。

 

ビッグデータ アイデアソン 

データ提供ナイトレイ株式会社石川氏と、株式会社チェンジ高橋氏がデータ分析の視点などを支援
(写真上段左 ナイトレイ石川氏、写真下段右 チェンジ高橋氏)

2時間でデータ分析できたポイントは、参加者のアイデア創造力が高いことは当然ですが、それに加え、「現場に根付く仮説にもとづいたデータ分析」と、「BIツールの利用」があったからでしょう。

 

■データ分析の目的を見失わないための仮説の重要性

勘や経験に依存しない意思決定のためには、データ分析は不可欠です。
しかし、データさえあれば、勘や経験が不要というわけではありません。
なぜならば、データが正しいのか、そのデータに意味があるのかを判断するのは人間だからです。
データはある事象の「写像」にほかならず、データに意味を付与するのは人間です。
よって、データだけを見て示唆を得ようとすることは、そのデータが正しいのかや、意味があるのかの判断を行う軸を失うことにもなります。その結果、データ分析が深みにはまり、限られた時間内で示唆を得ることは困難となります。
そのような事態を回避するために必要なのが仮説力であり、その仮説力のベースとなるのが事前調査から得た情報や、情報を嗅ぎ分ける勘、蓄積された現場勘です。

今回、当アイデアソンには横須賀市や地域活性に関する意識が高い方々が集い、「このエリアに人が多く集まっていたのはなぜだろうか」や、「海軍カレーやネイビーバーガー以外の横須賀市のウリは何かないだろうか」など、日ごろの疑問や想いをアイデアソンの場で仮説として明確化したうえで、データを介して仮説の検証を行った結果、短時間でデータから示唆を得られたのではないかと感じ、データ分析時の仮説力の必要性をあらためて実感いたしました。

 

■BIツールによる思考スピードの向上

また、今回Tableau desktopを使用し、「イベント参加者と飲食店利用者の関係性がない。であれば、どのような導線で行動しているのか」や、「神奈川県在住者以外の週末の飲食店利用状況を調べ、観光客が何を食べているのかを把握。その結果の多くが海軍カレーやネイビーバーガーだが、それらを除外したデータを追加調査することで、観光客に需要のある隠れたグルメが発掘できるのではないか」など、文字や数字だけではわかりにくいデータを簡単な操作で随時「見える化」したことで、参加者の思考スピードをさらに向上させたことも体感しました。

 

■データを介してつながる関係性

アイデア発表後には懇親会も行われ、三浦半島で採れた食材を使ったケータリングも用意され、閉会となるまでの約6時間、盛り上がり続けたアイデアソンでした。

NPO法人 横須賀創造空間 代表理事 藤野氏

NPO法人 横須賀創造空間 代表理事 藤野氏

当アイデアソンを介して行われた一連の流れは、「データの取得」、「データ分析の検証」、「データ分析」、「企画立案」、「プレゼンテーション」というビッグデータプロジェクトで行われる一連の流れそのものであり、「ビッグデータというキーワードを前にすると身構えてしまうが、気がつけばビッグデータを活用していたという感じだった」という参加者の感想が本アイデアソンの成功を物語っています。

データを介することで人と人とがつながり、個々のバックグラウンドがアイデアの創出に相乗効果を発揮した素晴らしいアイデアソンでした。

左から株式会社トライアングル 大森氏、横須賀市長 吉田氏、株式会社チェンジ 高橋氏、株式会社ナイトレイ 石川氏

左から株式会社トライアングル 大森氏、横須賀市長 吉田氏、
株式会社チェンジ 高橋氏、株式会社ナイトレイ 石川氏

 


執筆者情報

ビッグデータマガジン 土本寛子土本 寛子(つちもと ひろこ)

~ビッグデータマガジンを通じて、ビッグデータに関係する方々を応援しています~

【経歴】モノづくりに興味を抱き、製造業向けシステム開発プログラマー、SE、業務およびシステム導入コンサルタントとして従事。また、ナレッジマネジメントやWebデザイン開発などにも関与。

    

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