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BIツールがもたらす3つのAX(アナリティクス・エクスペリエンス)~セルフサービスBIツール最前線~

time 2014/10/03

BIツールがもたらす3つのAX(アナリティクス・エクスペリエンス)~セルフサービスBIツール最前線~

■セルフサービスBIがもたらす効果は、速さと安さだけではない

2014年現在、TIBCO Spotfire、Tableau Desktop、Dr.SUM EA、Qlikview、Yellowfin、Pentahoなど様々なセルフサービスBIツールが、ビッグデータ市場における一領域を確立しつつあります。

一方で、これらの普及に対して、「これまでのDWH(データウェアハウス)やOLAP(online analytical processing:オンライン分析処理)などのBIツールと変わらないよね。値段は安くなったけど、、、」という言葉もよく耳にします。

確かに、スライシング、ダイシング、ドリルダウン、ドリルスルーなどの機能だけを見れば、旧来のBIとはさほど変わりはないものの、現在のセルフサービスBIツールは、各社がその熾烈なポジション争いの中で、頻繁にバージョンアップを繰り返し、様々な機能を提供するようになってきました。

その主な機能強化は、ビッグデータの流れの一つである機械学習や人工知能などの、「より深い、より複雑な分析」ではなく、「分析結果をどのように表示し、どのような示唆を得るか」、また「意思決定の支援・促進にどのように貢献させるか」といった、分析結果をより利用しやすくする機能に向けて舵をきっているように見受けられます。

機械が答えを出すのではなく、分析官や意思決定者が答えを出す“感覚”に反応し、示唆に富んだ気付きにつなげること、いわゆる「ピンとくる」体験=分析体験(AX:アナリティクス・エクスペリエンス)と呼ぶにふさわしい機能の提供こそが、現在のセルフサービスBIツールの真骨頂であるといえます。

今回は、そんなセルフサービスBIツールがもたらす3つの分析体験について紹介していきます。

 

■1つ目の分析体験「選ばれなかったデータから見える気付き」

 

エクセルで、「フィルター」機能を使ったことがある方は大勢いらっしゃることでしょう。フィルターは、その名の通り、何かの条件=フィルターでデータを絞り込む、抽出する機能です。
この抽出する機能によって、選ばれたデータだけが表示されます。

例えば、2013年のプロ野球のデータで考えてみましょう。東北楽天ゴールデンイーグルスの試合一覧を勝ちゲームでフィルターし、勝利投手の一覧を見ると、まずは24勝をあげた田中将大投手と15勝をあげた則本投手に目がいきます。

逆にそれ以外の勝利投手にはなかなか目が行かなくなり、登板数が40試合を超えるものの勝利数が少ない投手の貢献についての議論は遮断されてしまいます。

また、それどころか、田中投手の負け数さえ見えないため、勝ち数が多いということはわかっていても、勝率が100%であるということは、その事実を知らなければ、みえなくなってしまいます。

分析官が立案した仮説を検証するような場合は、条件を用いてデータを絞り込んでいくアプローチが最適です。一方で、都度新しい仮説を発見するような問題探索型の分析を行う場合は、「選ばれなかったデータから見える気付き」が重要になることがあります。

QlikViewは、関連する項目だけでなく、関連しない項目も「可視化」(グレーで表示)するので、分析官の仮説によって見逃してしまいがちな発見をフォローしてくれます。

※Qlikviewの詳細はこちら(http://bdm.change-jp.com/?p=887)を参照ください。

 

QlikView画面イメージ

【QlikView 解の探索】
QlikViewは選択した値を「緑」、関連のある値を「白」として表示し、
関連のない値は「グレー」で表示します
(クリックで拡大表示されます)

 

■2つ目の分析体験「パラパラ漫画で変化を可視化」

 

BIツールには旧来よりデータをある断面で見る「スライシング」という機能があります。データ全体を一つの大きなキャベツに例えるなら、半分に切った時の断面を可視化する機能が「スライシング」です。

最近のセルフサービスBIツールには、このスライシングした断面を連続的に表示する機能を持ったものがでてきています。いわば、キャベツを千切りしている断面を、連続的に表示するようなイメージです。

これによって、一つの断面だけではわからない微妙な変化の予兆や、突発的な変化が浮き彫りになるというメリットがあります。子供の頃によくやったパラパラ漫画のイメージを思い出してください。一定間隔で生み出される断面を高速かつ連続で表示することで、その間の微妙なつながりを残像が補完し、ムービーのように見える経験は誰しも持ったものではないでしょうか。

例えば、とあるECサイトの1日のアクセス数を時系列で見たところ、お昼の12-13時と、夜23時以降のアクセスが多かったとします。これはある1日の断面でしかないので、他の日がどうかを見てみる必要があります。そこで、別日程のスライシングデータを見てみると、同じ傾向なのか異なるのかが分かりますが、何度もデータを更新するのは大変です。

そこで、1ヶ月間のアクセスデータをパラパラ漫画で表示できたとします。すると、週末だけアクセス数のピークが来る時間帯が異なることがわかります。これは平日と週末でアクセスに変化があるという気付きにつながります。これは1日の断面だけでは気付かなかった示唆です。

Tableau Desktopは「ページ」という機能があり、指定した時間毎の断面を連続表示することが簡単に実現でき、だれでも体験できます。このページ機能は、特に時間による変化があるデータと、時間では変化しないデータを識別する時に非常に便利な機能です。

BIツールがもたらす3つのAX(アナリティクス・エクスペリエンス)

<Tableau Desktopページ機能>
日時のアクセス数のグラフが自動的にページ送りされる
(クリックで拡大表示されます)

 

■3つ目の分析体験「分析でストーリーテリング」

 

旧来のBIは分析した結果をダッシュボードにして、意思決定や議論を行っていました。データやファクトをベースに議論を行う上で極めて重要な機能であったといえます。

一方で、情報化社会において、社内に蓄積された情報だけでなく外部環境にも目を向け、より多くの情報から必要な情報を抽出し、意思決定を行う必要がある昨今、全てのデータにアクセスできることも重要ですが、取捨選択した情報をよりわかりやすく、より適切な流れで見られる必要性が出てきました。

インフォグラフィックスを用いたプレゼンテーションが増えつつある昨今、情報量も重要ですが、頭に入るストーリーテリングが重要になってきているといえるでしょう。そこで、最近のセルフサービスBIが搭載する新たな分析体験の3つ目が、「BIストーリーテリング」です。

これまでも、ダッシュボードを用いてプレゼンテーションすることはありました。しかし、複数ページに渡る資料や外部のデータなども引用する場合は、パワーポイントなどのプレゼンテーションツールを使い、グラフのキャプチャーを貼り付けて利用するということが多かったのではないでしょうか。

そのような手間をセルフサービスBIは、ツール内で全て完結できるようにし、ツールを用いて複数ページに渡るプレゼンテーションを行えるようにしたのです。

Tableau Desktopの「ストーリー」機能だけでなく、Yellowfinなどにも搭載されており、データを分析して資料化するだけなく、その結果をベースにしたプレゼンテーションを簡単に作成することができます。

これは、分析官の手間を減らすだけでなく、ビッグデータやアナリティクスの価値をより多くの人に知らしめることができる、まさにユーザを巻き込んだ「新たなAX(分析体験)」を実現する機能だと感じています。

BIツールがもたらす3つのAX(アナリティクス・エクスペリエンス)

【Tableau Desktopのストーリー機能】
ページタイトルだけでなく、キーメッセージが表示され、
キーメッセージをクリックすると次のスライドがめくられます
(クリックで拡大表示されます)

 

 

■最後に:セルフサービスBIのデスクトップ製品化が加速

 

セルフサービスBIツールは、デスクトップ製品やクラウドで利用できる製品が増えつつあります。この業界では日本最大手のWing Arc1st社も、BIダッシュボードをクラウド化した製品「Motion Board Cloud」を2014年春にリリースしています。

このクラウド化やデスクトップ化の流れは、これまでの一般的なオフィスツールに近い簡単な利用を意識したものであり、それこそが、旧来のBIと一番大きな違いなのかもしれません。

様々なセルフサービスBIツールがすでに提供されており、その内のいくつかは、一部制限はあるものの無料で利用できるようになっています。

皆さんも、新しい分析体験(AX)に挑戦してみませんか?


<プロフィール>

ビッグデータマガジン編集長 高橋高橋 範光(たかはしのりみつ)

株式会社チェンジ 取締役
ビッグデータマガジン 編集長

大学・大学院で、経営工学や集団意思決定支援を専攻。

卒業後、大手外資系コンサルティングファームに入社。業務システム開発、Webシステム開発、マーケティングROI分析など多方面に渡るITコンサルティングに従事。

現在は、株式会社チェンジの取締役としてIT企業の人材育成に携わりつつ、データサイエンティスト育成事業や、データ解析コンサルティングを手掛ける。

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