ビッグデータマガジン

誰でも使える統計分析ウェブアプリケーション「xica adelie」 株式会社サイカさまインタビュー

time 2013/12/25

誰でも使える統計分析ウェブアプリケーション「xica adelie」 株式会社サイカさまインタビュー

ビッグデータ業界のキーパーソンにお話をうかがう「ビッグデータマガジン・インタビュー」。「誰でも使える」というコンセプトで、統計解析の専門知識が無くても重回帰分析を行うことができる、統計分析webサービス「xica adelie (サイカ アデリー)」を開発した、株式会社サイカ代表取締役の山田裕嗣さまにお話をうかがいました。

サイカ BI

 

―――自己紹介をお願いします。

サイカ BI 山田さま私は、2006年に上智大学文学部心理学科を卒業して、セルムという人材開発領域のコンサルティング会社に入社しました。もちろん大手企業の採用面接も受けて複数の内定をいただいていたのですが、自分自身のキャリアプランに合っていいたことと、社長を初めとして採用の過程で関わっていただいた方々がとても魅力的だったことで、その会社に決めました。

入社後は、人事採用のコンサルティングや教育など、さまざまな人材関連の支援をしていたのですが、次第に“支援”ではなく、自分自身が事業会社の中で採用や人材評価の業務をしたいという気持ちが強くなって、IT系の事業会社であるグリーに転職しました。配属はHRで、月に100人以上の中途採用をするなどの業務をしました。

ただ、大企業で安定してしまうのは自分に合っていなかったのと、現在当社代表をつとめる平尾が株式会社サイカの立ち上げをするのを手伝ったことがキッカケとなって、2012年11月に取締役として正式に参画し、今年の6月から代表権を持ったCOOとして働いています。

実は、代表の平尾とは10年来の知り合いなんです。彼は私が予備校の講師をしていたときの生徒でした。当時から平尾は壮大な夢を描き、人を巻き込む才能がありました。

 

サイカについて

 

サイカ BI ロゴサイカは2012年2月に設立した若い会社です。「サイカ」とは「才能」を「開花させる」という意味でして、ひっそりとロゴも「才」の字をデザインしています(笑)

 

平尾は、慶応SFC時代に竹中平蔵先生の元で計量経済学を学んでいました。その中でも「統計学」という手法に魅力を感じ、この知識はいろいろとビジネスの中で活かせそうだという発想で、彼は会社を立ち上げました。会社設立当初は、平尾を含めた統計をできる複数のスタッフがお客さま企業からデータを預かって、分析して価値(コンサルティングなど)をお返しする、というビジネスをしていました。

その後、CTOの海老原が入社したことをきっかけに、「現在はわれわれがデータの分析をしているが、このままでは請け負うことができる業務量が限られていて、世の中に与えるインパクトに限界がある。」という考え方に変わっていきました。もっともっと世の中に多くの価値を還元できる方法があるはずだということで、設立半年後くらいに、プロダクトを作り始めました。

将来は、たくさんの方にさまざまな場面で弊社のプロダクトを使っていただいて、われわれから大きな価値を世の中に還元できるようになりたいです。

 

―――御社のサービス(プロダクト)について教えてください。

 

統計解析の専門知識が無くても重回帰分析を行うことができる、統計分析webサービス「xica adelie (サイカ アデリー)」を2013年10月16日に発表しました。統計解析に興味はあるけど、既存のツールを使いこなして分析することができなかった方むけに、直感的に操作できるツールとして提供しています。重回帰分析に絞ったのは、ビジネスの現場での活用シーンが多く、応用が利くからです。

もともと社内の分析業務ではSPSS, Stata, EViewsなど、既存の分析ツールを使って大量の分析作業をしていたのですが、さまざまな仮説を試行錯誤するのには結構手間がかかっており、業務効率をよくするために自社用のツールを開発したのです。それを今回、外部むけにブラッシュアップしてリリースしました。

「xica adelie (サイカ アデリー)」のコンセプトは、以下の3つです。

  • たくさんのパターンを簡単に試せる。
  • 統計が分からなくても使える。
  • 分析結果を他の仲間と一緒に“考える”ことにつなげる。

例えば、あるサービスの申込者数と、それと相関がありそうデータを下記のような形式にしてxica adelie (サイカ アデリー)に読み込ませます。

 サイカ BI 画面

 

データを読み込んだ後に「モデルを作成」というボタンを押すと、すぐにグラフが出てきます。

 サイカ BI 画面

このグラフには、実数字とモデルとの合致率が%で表示されますが、これが100%に近づけばいいのです。項目ごとの相関確率は95%以上が好ましいので、該当する項目は緑色になっています。

自動という機能を使うと、自動的に相関が強い項目が選ばれます。○日前のチラシ、△日前の広告の影響が多かった、というような時間差を考慮した分析もできます。その要因が、売り上げなどの成果に、どの程度影響を与えるか?も、係数で定量的に表示されます。

サイカ BI 画面

 サイカ BI 

 結果的に、どんな施策を実施すれば、どれだけの申込数の増加があるか?を予測するモデルを作り上げることができます。

 

―――ユーザー事例を教えてください。

例えば大手の広告代理店さまでご活用いただいています。広告は職人芸になってしまっているらしく、それを、広告主に対してデータに基づいて分析提案できる、なるべく再現性がある状態にする、という目的でご活用いただいています。

現在は社内のさまざまな部署で共感してくださっているようですが、データを分析して統計結果をもとに施策を評価したり、次の施策方針を出したりできるようになるまでは、相当な時間がかかったそうです。「みんな、数字って好きじゃない」という風土だったらしいので。

弊社が主催するユーザー事例の発表会では、広告主の売り上げとさまざまな広告施策割りとの相関を分析した例を発表してくださいました。割引のキャンペーン期間、Webアクセス数値、プロモーション広告種類(動画広告やバナー広告など)のデータを読み込ませ、バナー広告は何日後に成果として表れるか?と言ったような点も言及されました。結果、割引キャンペーンの期間を1日伸ばすと、60万円売り上げが上がる!という分析モデルが出来上がりました。

 

また、大手Webメディアさまでも、サイトやページのPVや来訪者数と相関がある要因を把握するために使っていただいています。例えば、ある日の来訪者数が著しく伸びた際に、その要因を分析すると、それまでの直感的な理解とは違った要因が見えてくることがあるようです。その日に展開していたキャンペーン企画が当たったのか?たまたまその日に登場した有名人の人気度に起因したのか?といったようなことを、偏りなく把握することができるのです。

まだまだ試行錯誤をしてくださっている段階ですが、それまで直感的な評価に基づいて議論していた企画会議に分析モデルの視点が入るだけでも、意見に多様性が生まれるため、大変に喜んでいただいています。

 

―――ユーザー企業の人材をみていて、課題と感じることをお聞かせください。

 

そもそも統計分析が分かる人が圧倒的に少ないですね。もちろん、高度な分析手法を使いこなすためには、専門的な教育訓練が必要です。

ただ、統計分析は「事実(データ)にもとづいた問題解決手法」の一つです。世の中にこれだけデータが増えているからこそ、統計分析のエッセンスを理解し、目の前の課題に対して「うまく使う」ということはもっと多くのビジネスパーソンに広まってほしいですね。

“事実”に基づいて“問題を発見”し、この問題を論理的に“分析・分解”し、対策を検討するって重要ですよね?と言うと、多くの方が賛成します。そのときに扱う“事実“の一つが“データ”であり、このデータを“読み解く手法”が統計分析です。

現実にはこのような考え方にはまだまだギャップがありますが、弊社としては、だれでも活用できるツールの提供をすることでこのギャップを埋めていきたいです。

サイカ BI 山田さままた「結果のレポートで数字を見ている人」は多いが、「数字から考える事を実行している人」は少ないので、この点も課題だと思います。例えば「今月の売り上げの着地見込みは?」と聞かれると、その月の営業感触から直感的に「○○○万円」と答えてしまいがちです。結果的に見込み数字が正しかったとしても、本人が感覚的に“分かっている”だけで、論理的に周りに伝える事はできていない状態ですよね。そのような直感に基づいて考えることが反復して訓練されている職場は多いと感じます。

 

 

―――課題を解決するために、どんな対策をすべきだと思いますか?

「ロジカルシンキング」を、多くのビジネスパーソンが学んでいるが、「ロジカルシンキング」を使いこなしている組織は少ない、という課題を解決しようとするのに似ていると思うのです。「ロジカルシンキング」を使えている組織では、上司が「それはMECEか?」とか、「その因果関係は直接的か?」とか「なぜ?」とか「だから、どうなる?」とか、何度も徹底的に問いかけます。それと同じようにデータも扱うべきかな?と感じています。

  1. 上司(またはトップ)が適切な報告フォーマットを示す。
    (データ思考の報告をしなければならないようにフォームを提示する)
  2. 現場で繰り返し訓練をする。
    (適切な問いを、上司が繰り返す)
  3. 本人がおもしろがって取り組むような仕組みをつくる。

以上の3つをお勧めしたいです。

3つめですが、それ(業務で指示されたこと)を行うことが、本人に意味がある!と伝えることが重要です。それをすると、仕事がはやくなる、仕事が楽しくなるということを伝えるのです。例えばSFAを導入しても、営業スタッフが入力しなくなるという例はよく聞かれます。ツールが悪いのではなく、組織への導入の仕方が悪いというケースがほとんどです。弊社がコンサルティングした事例で、SFAの入力率が3割から9割に改善した例があります。入力した内容のフィードバックをしただけです。「なんで入れているの?」という現場の疑問に答えられただけだと思うのです。

 

―――最後に、ビッグデータマガジンの読者の皆さまむけに、メッセージをいただけますか。

ビッグ(大量、多様、リアルタイム)でなくともデータは使えるものだと思っています。ほんの数行のエクセル上のデータでも、それをキッカケに思考を深める事は可能ですし、いろんな事が分かるものです。データを“結果”ではなく“考える素材”として捉えれば、人はデータに対してクリエイティビティを発揮できるようになります。

扱うデータがビッグになり、そこに多様な分析の手法が駆使できるようになったことで、データという素材から読み解けることも本当に多様になります。ビッグデータは、正しく使いこなすことができれば、これまでにない新たな価値を創り出せる可能性が絶対にあります。

“私はクリエイティブなセンスがない、技術が全然わからない”という人も、データを前にしたら、自分に「Why?」と問いかけてみましょうよ。そうすることで、なぜそのデータ(情報)が記録されたのか?を、自分自身の脳が考え始めるものです。その人の人生を経なければ分からないこと、その人しか知らないことって必ずあるので、「Why?」と自分に問いかければ、必ずその人らしい仮説が出てくるものです。

また、組織の中では、ある業務に対して楽しんで取り組めるようになった人材を、どれだけ周りが大切にできるか?も重要です。周りの支援によって、その人材のビジネススタイルが出来上がっていきます。データを基点に思考を深めることの楽しさに気づいた人材を、周りのメンバーが応援し、サポートすることが、組織としては重要になってくるということです。そういった意味で、影響力を持った職位の方こそ、積極的にデータに触れて思考を深めてほしいですね。

 


【執筆者情報】

ビッグデータマガジン杉浦杉浦 治(すぎうら おさむ)

株式会社 AppGT 取締役株式会社 学びラボ 代表取締役

一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事

 

2002年デジタルハリウッド株式会社取締役に就任。IT業界における経営スペシャリスト育成やネット事業者向け研修開発を行う。

2010年4月「ネットショップ能力認定機構」設立。ネットショップ運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催。
2013年7月、プレステージ・インターナショナル(東証一部)より出資を受けて(株)AppGTを設立。コンタクトセンターに蓄積された顧客コミュニ ケーションデータを分析し、今後の主要な顧客接点となるスマートフォンの活用において、様々な研究や企画提案を行っている。


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